ケアスタッフとリハビリスタッフが利用者の生活ベースで協働してADL改善に取り組んでいくことは、自立支援型介護のキーポイントとなる。その実現のためにはリハビリスタッフがケアスタッフのフィールド、つまり利用者が実際に生活する場に一歩踏み込み、それを基軸としてリハビリを展開していくことが重要である。リハビリスタッフは頭も身体もリハビリ室に置いたままではいけないのだ。
ケアスタッフの側から見れば、リハビリスタッフの敷居を非常に高く感じているスタッフも少なくない。これが、協働の実現を阻む大きな因子になっているのだ。その一因として、リハビリスタッフ間でしかわからない特有の専門用語が挙げられる。ケアスタッフの立場で考えてみると、何を言っているのかわからず考えを共有できなかったり、専門性を振りかざしているかのように見える原因となってしまっている。また、実際の生活の場や場面での遭遇がほとんどなく、利用者の把握の仕方に差が生じることなども原因の一つだ。
ほかにもリハビリは機能訓練、リハビリは専門職のもの、と言ったような間違った認識になってしまっていることなども挙げられる。この高くなってしまっている敷居を下げ、共にADL改善に取り組むためには、お互いが歩み寄る姿勢が重要だ。積極的に利用者の生活ベースに赴き、誰にでもわかりやすい言葉で話すことや記録を残すことを意識することが大切である。
ケアスタッフもリハビリスタッフも、それぞれが活かせる専門性を発揮することで質の良い介護サービスの提供が可能となる。また、利用者の具体的な生活行為に向かい合ったリハビリをすることや、何より利用者のためにともに汗を流す存在であることを理解してもらうことも忘れてはならない。